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貧食カレー

 昼、郵便局に行ったついでに、「貧食」(「貧民(救済)食堂」、正式名「川内第二食堂」)でカレー(「おふくろカレー」)を食べました。久々です。今は、サラダ・バーもあるんですね~。

 大幅な建て替えを経ることもなく、あのまま生き続けていることに感銘を受けます。最新設備を備えたマルチメディア棟とのコントラストはたまりません。その空間だけ時間が止まっている感じです。

 ここのカレーを食べると、自分がまだ若かかりし頃、月~金曜日まで毎日カレーにまみれていた頃の風景を思い出します(「貧民」ですから)。「大」「中」という略称で注文が通じる、普通の食堂ならありえない驚異的な意思疎通の速さ。10円キャベツ。カレー中央に生卵を流し込む強者たち。「○○さん! 昼飯! 押忍! ごっつあんでーす!!(ごちそうさまで~す!)」という、今はもう聞くことができない応援団員のごっつあん文句……。貧食にはまった中毒患者はたくさんいたはず。

                    ◇

 カレーといえばインドですが、しかし、私たちが日ごろ食べるようなとろみのあるカレーは、インドにはないと言います。というより、「カレー(ライス)」と呼ばれる料理がないといいます。「カレー」という概念がないといっていいのかもしれません。インドにあるのは日本のカレーとは違って、スープ状で、多種多様なスパイスを使用する料理です。

 フォト・ジャーナリストの森枝卓士さんは、日本のカレーのルーツはイギリスにあると指摘します。肉や野菜を煮込み、小麦粉でとろみをつけるシチューのような料理は、昔からイギリス(ほかヨーロッパの国)にはありました。そこに植民地であったインドからカレー粉(はじめからスパイスを混ぜ合わせた物)を持ち帰り、それを加えるようなやり方でイギリス式のカレーがつくられ、その後明治期に日本に到達し、今のようなかたちになっていったといいます。いまのような日本式のカレーが成立したのは大正時代で、それが津々浦々にまで普及する原動力となったのは、軍隊生活と学生寮での食事で愛用されたことが大きいとも森枝さんは述べています。学生とカレー、その結びつきは固い。(貧食)カレーが学生に愛される理由も何となくわかります。「学校の食文化史」なんて項目が、教育史のテーマにあってもよかないかと思ったり。

 巷にあふれるカレー商品の数々。日本の食文化にカレーは深く根付いています。私たちの経験・認識には「カレー」という媒体が分かちがたく作用している=「カレー論的転回」。あほです。さっさと明日のゼミの用意します(-_-)

〈参考〉
森枝卓士『カレーライスと日本人』講談社現代新書、1989年。
同『月刊たくさんのふしぎ カレーライスがやってきた』1988年12月号(第45号)。

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