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居合の白装束

白道着・袴という白装束。一度やってみたいスタイルです。
夢想神伝流だし。今までやったことがないし。
白は膨張色だから体を大きくみせることができるかもしれないし
(黒の道着だと、ただでさえ細身の自分がさらにスリムになってしまうし(* ̄ー ̄)> )。

居合で白道着袴というと、まず夢想神伝流が想起されます。
そして、その先には中山博道
そう、〈白道着袴のルーツは中山博道〉という捉え方は、一般的な通説になっていると思います。
彼が剣道師範を務めていた東京大学、皇宮警察は今も白道着袴のスタイル。
中山道場、有信館も白道着。その弟子であった檀崎友彰ほか、その門下もまたしかり。

しかし、なぜ白なのでしょうか。今の視点からみれば、「伝統の白」といった見方もできますが、なぜ、博道は白装束というスタイルをはじめたのでしょうか。「白装束は本来死者の装束であり縁起が悪い、しかし、だからこそ死を覚悟して稽古・試合に臨むという決意の表現である」といったりすると、最もらしく聞こえますが、どうもそんな思弁的な理由からではないようです。むろん、白は映えるし、格好いいじゃんといった好みの問題でもありません。
 博道自身は次のように述べています。孫引きですが引用してみます。

「稽古着や袴がとても汚れ易いので、黒色や当時流行した縞柄の袴をやめて、白い木綿布で作らせてしまった。かくのごとくすると汚れがすぐ目立つから、結局、洗うことになる。したがって衛生的で結果は洵(まこと)によかった。初めは弟子達も厭な様子であったが、次第に慣れてきて、稽古の終わった後洗濯する者もだんだん増えてきた。
 私は自分の道場ばかりでなく、どこへ行ってもこれで押し通した。当時白袴は神官の常用袴で、稽古人がつけることなど、凡そ異常に思われていた。ところが数年経つと京都の大会にもボツボツ白があらわれて、昭和に入って俄然増加し、今日に至った次第である。白袴は中山道場の印などと噂をするものもいたが、実はただ、以上のごとき理由でしかなかった」
〈註〉「白い道着袴にはワケがある」『月刊 剣道日本』2001年6月号(No.304)、スキージャーナル社、140-141ページ(原資料は、堂本昭彦編『中山博道剣道口述集 善道聞書』スキージャーナル社、1988年)。

武道の世界では伝統が大切にされますが、博道が白を採用したのは衛生面、「清潔さ」という実に合理的な理由からであり、白道着袴はむしろそれまでの伝統を打ち破ることでした。

「伝統」を考える上で、この事例は重要なことを示唆しています。それは、「伝統」とは単に旧いものに理由もなく固執するところには成り立たない、それは現在という時間の中で新しくつくられていくものだということです。単に「伝統」だからという思考の中では「伝統」は成り立ち得ないものだということです。

今日において白を着る意味は何か。これは私たちに課せられた課題です。
んっ? 今まではなぜ黒だったのかって。なぜでしょう。

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