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「高度のプラグマティスト」

 衆院総選挙が近づく。国民の「改革」への期待(日本経済の再生、利権をめぐる癒着構造の改善など種々の思惑)が、「郵政民営化」という一つの言葉によって象徴されているような印象を受ける。「民営化」を主張する側からすれば、それが国民が望む「改革」への重要手段だ―郵政民営化もできなくて、どうして「改革」が遂行できるのか―といった論法・戦略である。ほんとうにそうなのかどうかは「よくわからない」。ただ、〈「民営化」=何かが変わる〉という可能性への国民的期待は、〈「非民営化」=何も変わらない〉という期待?よりは当然大きくなるだろう。むろん、対立の構図はそう単純なものでないことは承知しているが、そのような構図で理解されている可能性が高いのではないか。とすれば、この「何かが変わる」という期待(イメージ)をどう取り込めるかが、選挙結果を最終的に左右するのではないか。だから、単に小泉批判をするだけでは……などと素人分析してみる。

               ◇

 衆院総選挙を前に、丸山昌男「ある自由主義者への手紙」(『世界』昭和25年9月号、1950年。『増補版 現代政治の思想と行動』未来社、1964年所収)を読み返してみる。50年以上前のもので、文章が書かれた時代的文脈は今日とは著しく違うが、それでも、政治的意思決定のあり方を考える上で勉強になる。とくに以下の文章など。

「僕のいわんとするところは自由人をもつて任ずる無党派的な知識人もその主体性を失わないためには無党派的知識人の立場からの現実政治に対する根本態度の決定とそれに基く戦略戦術を自覚しなければならない段階が来ているということだ。」(135ページ)

「僕は少くとも政治的判断の世界においては高度のプラグマティストでありたい。だからいかなる政治的イデオロギーにせよ、政治的=社会的諸勢力にせよ、内在的先天的に絶対的真理を容認せず、その具体的な政治状況における具体的な役割によつて是非の判断を下すのだ。僕はいかなるイデオロギーにせよそのドグマ化の傾向に対しては、ほとんど体質的にプロテストする。」(149ページ)

感心するは易いが行うは難し。郵政と「絡む」問題に関する多くの意見に耳を傾けつつ、また各政党候補者の過去の発言・行動をも振り返りながら、総合的に政策の「是非の判断を下す」しかないだろう。幸い、ネット上には渉猟するのがとても困難なほどの情報が溢れている。

 とりあえずは、選挙に行かなければならない。現時点で自分は、「投票しない」という行為に政治的意思表示としての積極的意味を見出せていない。投票しなかったならばそれは、「投票しない」という形で、結局は現在の政権・政策に盲従したことと同義であること。もし、このとき自分を含む国民が行った政治的選択が、結果として大きな国家的問題を招来することになったとき、その要因を作ってしまった自分たちが「自分は投票しなかったから関係ない」では、未来の世代に対して無責任であること。このような認識を越えることが現時点でできていない以上、投票に行くしかない。

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