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「逆さの世界」の喜劇王

 読書会+αのメンバーで、チャップリンの映画『独裁者』、『モダンタイムス』、『黄金狂時代』(『ゴールド・ラッシュ』)をみる。丸山眞男『増補版 現代政治の思想と行動』(未来社、1968年)所収の論文「現代における人間と政治」(452頁-)の冒頭、これら映画のシーンについて触れられており、それがきっかけとなって上映会という運びとなった。チャップリンが演出した現代における「倒錯」・「逆さの世界」に関し、丸山が注目した部分について確認し、合わせて喜劇王による見事なコメディを楽しむ(その手法の多くは、今日に受け継がれていると感じさせる。さすがに、三本ぶっつづけでみるのは疲れたが…)。

 丸山は、チャップリンの映画から、次のような意味を引き出している。

チャップリンは、現代とはいかなる時代かを執拗に問いながら、くりかえし同じ規定を以て答えているように見える。それは「逆さの時代」だということである。何をもって「逆さの時代」というか。それは常態と顛倒した出来事が〈あちこち〉(傍点部)に見られるとか、人々の認識や評価が〈時折〉(傍点部)狂いだすとかいうような個別的な事象をこえて、人間と社会の関係〈そのもの〉(傍点部)が根本的に倒錯している時代、その意味で倒錯が社会関係のなかにいわば構造化されているような時代ということである。(463頁)

 『独裁者』の導入部分における飛行機のシーンは、(主人公である床屋の記憶喪失と合わせて)まさに「逆さの世界」への入口を演出したとも受け取れたし、『モダンタイムス』におけるあの最高に笑えた自動飲食マシーンは、人間の自然な欲求すら能率的に操作されるという人間と機械の倒錯した「逆さ」の関係を表している。しかも、その倒錯が、現代に生きる我々にもそのままあてはまるとすれば、いったい素直に笑えるシーンなのか…

   ■   ■

 学問的な文献・論文だけでなく、このように大衆映画を素材として議論を展開する丸山の手法、その多趣味には驚かされる(彼の音楽嗜好も有名だ)。『論座』10月号(2006年、朝日新聞社)には、「『速舌遅筆』丸山眞男の超人的好奇心」と題して、『現代政治の思想と行動』の編集に携わった松本昌次氏のインタビューが載っている(「“生涯現役編集者”松本昌次が語る わたしの戦後出版史―その側面⑦」)。 映画、演劇、音楽、専門外のあらゆるジャンルにわたって、あらゆる蘊蓄を傾けてダベるその饒舌ぶりや、好奇心の旺盛さを示すエピソードが語られている。「いかなる場合も、広く深い学問的・時代的経験に立って、全人格的といいますか、全身体的といいますか、持てるものをすべて出しきって、書く主題とわたりあうようにして書かれている」(同上、335頁)丸山の本はたしかに刺激的で、「面白い」。

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投稿: e-アフィリ | 2006/09/09 08:59

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