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セクショナリズムの発露か

 小学6年生と中学3年生を対象にした全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が、本日行われる。どのような報道がなされるのか、気になるところだ。

 それにしても、最も児童生徒が見えている各学校ですでにさまざまなかたちで学力把握がなされているにもかかわらず、このような全体調査を行う意味がどこにあるのか、私にはわからない。そもそもペーパー・テストで計ることの出来る「学力」の質―テストから読みとれるもの―に関しては、調査のあり方を含め、きわめて慎重な議論を要するはずである。そもそも学力観自体多様であることを念頭に置けば、さまざまな側面から子どもたちの学習傾向を把握していくことがむしろ対策としては有意義なはずである。だから、抽出調査ではなく、今回のような全体調査でなければならない理由もよくわからない。果たして多額の税金を投入するだけの意味があるのだろうか。序列化をふくめ、いろいろな問題を引き起こす可能性が考えられるだけに、文科省がこれに乗り気だとも正直思えないところがある。
 「学力テスト」というものは、子どもたちに何が学ばれたか(あるいは学ばれていないか)を把握し、行政が学力保障のための政策的な改善をはかるために行うものだと私は考えるが、これを機に政府や文科省が、自らが行う教育政策の自己評価に本腰を入れるとは思えない。過去の「教育改革」政策がよい証左である。ここ30年の「教育改革」に関し、その自己反省がなされたことを私は寡聞にして知らない。それどころかたえず青少年を誹謗・中傷の対象とし、それを「教育改革」の理由としつつスローガン先行で迷走してきたのが、ここ30年の「教育改革」ではなかったか。
 もしこの調査への国民的関心がテストの「得点」という表面的な部分にのみ傾き、それを根拠に学校や教師、さらに子どもたちを批判して競争を煽る風潮が蔓延するようならば、〈確かに学力低下が進行している〉と評価することができるだろう。「子どもたちの」ではなく、「日本国民全体としての」学力低下が。

   ◇   ◇

 教育基本法改正(教育振興基本計画条項の盛り込み)や教科書検定(沖縄集団自決における軍の「強制」を削除)をふくめ、ここ最近における一連の教育政策は、あまりに問題なものばかりである。行政改革・構造改革のなかでそれ自体リストラの対象になりつつある弱小官庁・文部科学省が自らの仕事と予算を守るための生き残り戦略が、自民党の思惑と重なって、ズルズルと政治従属的な方向へ後退しているのだとしたら、危機感を覚えずにはいられない。

〈リンク〉
・全国的な学力調査について@文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/index.htm

・学力テスト:問題と正答例
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/etc/gakuryoku.html

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