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「渋滞、車多いと自然発生」

「渋滞、車多いと自然発生 阪大などのチームが実証」@asahi.com、2008年03月04日

 渋滞は道路を走る車の数が一定密度を超えると起きることが、自動車を走らせる実験からわかった。トンネルや坂といったボトルネックなどの特別な外因がなくても自然発生するという。英国のオンライン物理学誌ニュー・ジャーナル・オブ・フィジックスに4日発表した。
 名古屋大学情報科学研究科の杉山雄規教授や大阪大学サイバーメディアセンターの菊池誠教授らの研究チームが実施した。大学の敷地内に1周約230メートルの円を描き、これを車線にして乗用車を時速30キロで走らせた。慣れたドライバーが円の上を走るだけなので、渋滞を起こす外因はない。
 車間距離によって車の加速度が決まる数理モデルをたてたところ、車が約20台を超えると渋滞が発生すると予測された。
 実験では、22台が連なって走った。最初は約10メートルの車間距離を保って走行したが、数分たつと流れの悪くなる部分が現れ、やがて4、5台は一瞬、完全に止まるようになった。前の車両が動けば再び走り出すが、渋滞部分は車の流れと逆方向に順々に後送りされ、時速20キロほどで後方に向けて移動した。
 菊池教授は「車の密度が一定値を超えると、ちょっとした速度変化が後の車に次々に伝搬し、渋滞を起こす。ある温度以下になると水が一斉に氷に変わる現象と同じだ」と説明している。

 ネットで話題になっていたニュース記事。
  文系の自分が読む限り、阪大などの研究チームが「渋滞」が「自然発生」する仕組み=理論(モデル)を提示、実験を通して確認してみせた、ということだろう。
 それでも、慎重に読まないと大いに誤解を呼びそうな記事である(自分も正直、わかっているとは断言できない)。
 車が多いと渋滞が起きる――。「あたりまえだろ」と一蹴してしまいそうだが、我々は意識しないうちに「車が多い」以外にも渋滞の要因を土着に作り上げている。「渋滞発生ポイントはあそこ(だから、裏道を行こう)」といったかたちで。でも、理論上は信号や交差点などの外因がなくても「渋滞」は発生するというのが、記事の意味するところだろう。なお、自明の前提だけど、理論は現実すべてをカバーするわけではなく、現実から意図的に抽象化したフィクションである(がゆえに現象や問題の構造を明晰に見通せるのである)から、現実の社会では乗用車だけでなくトラックもあるだとか、円形の中を回っているだけで何がわかる、といった指摘は文字通り“論外”だろう。

New Journal of Physics(FullTextへのリンク) 

映像 

Experiments of forming traffic jam 
「車間距離が一定の値よりも短くなる、つまり密度がある値を越えると、車間距離一定の一様な流れは不安定となります。その不安定な状態で、各車の速度が少し変化することによってできる車間距離のばらつきは、車の進行方向と逆向きに成長しながら伝わり、密度の波となります。これが、渋滞を引き起こします。つまり、密度が高く、車がほとんど停止した部分と、密度が低く、車が走っている部分が、交互に現れる密度の縞模様ができます。これが渋滞です。トンネルや交通事故などは、密度を上昇させる役割があるだけで、渋滞の原因そのものではありません。」

◇「渋滞の論文が出ました(または相転移現象としての交通渋滞)」@kikulog、2008年3月4日

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