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[本]なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか

 浦坂純子『なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか―キャリアにつながる学び方―』(ちくまプリマー新書、2009年)を読む。

 「背伸びしている中学生、ど真ん中の高校生、実は心許ない大学生、そして親御さんたち」(12頁)にお薦めする本。
 個人的には、これから大学に入ろうとしている新入生に読んでほしい本だ。とくに、目標があいまいなまま入学してくる新入生、入学してすぐにやめたがる一年生につける薬として。
 それに、著者と同じ職業上の立場としても、いいネタ集めになった。
「なぜ親や先生からは『大学は出ておきなさい』と言われるのか?」
そのことを、学生に考えさせてもいいからだ(とくに、初年次教育の少人数授業でやらせたい)。
 
ちなみに、本書での答えは、次の通り。
「それは、大卒者のほうが高卒者よりも働く上で「一応は」有利だからです。その有利さの中身がまた色々あるのですが、乱暴を承知でまとめるならば、就職に際して門前払いをされるリスクが低いこと、労働条件のいい仕事や職業に就きやすいこと、そして賃金が高いことの三つです。」(66頁)
なあんだと、思ってしまいがちだが、著者の就職事情ははどうしてそのようになっているのかを、専門的見地をふまえながら、中高生にもわかるように丁寧に解説している。

 後半部では、大学での学び方について熱い語りが展開されている。
「社会人基礎力」や「地頭力」といった、企業目線の考えに振り回され、すぐ役立ちそうな科目に飛びついて効率的に勉強をするのではなく、学生の本分である「正課を骨までしゃぶりつくす」ことが、結果的に自分を大きくし、就職活動でも活きてくるというのには、自分もはげしく同意する。

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 就職活動で企業に応募する際に「エントリーシート」というものを提出します。前節で卒論のテーマを記入させられたりすると言いましたね。それ以外にも、自己紹介や志望動機、大学生活で熱中したことなどを書くわけですが、採用担当者はお役目上、これを何百枚、何千枚と読む羽目になります。
読んでいてワクワクするような大学生活を送ってきた人はそういないでしょうから、恐らく書かれている内容は似たり寄ったり、そこに大差はありません(だから読むのは苦痛でしかないと思います)。だとすれば、勝敗を決するのは書いて伝える力です。普段から書き慣れてさえいれば、就職活動の最初のハードルは、さほど高くはならないはずです。
 〈社会に出てからも、書くことはありとあらゆる場面で要求されます〉[〈 〉内:太字]。仕事で使いものになる文章力をつけるためには、絵文字たっぷり、スタイルや分量、内容の真偽に至るまで何ら制約のないブログを書き慣れたところでダメだということは分かりますね。
書いたものを丁寧に読んで、批評してもらえる機会は貴重です。それは絶対に無駄にせず、有効に活用しなければ! 〈レポートにしても論文にしても、出しときゃいいわという横着さは、自ら大損を招く行為である〉[〈 〉内:太字]。そう肝に銘じてください。(158-159頁)
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 とくに、「コピペ」学生は、以上の文章をしっかり味わうように。

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