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モチベーションが上がらない展開ばかり(1)

  ここのところ、自分の近辺で悲しい出来事ばかりが起こっている。

  勤務校の附属病院で発覚した問題は、世間に大きなインパクトを与えている。

  ただし、これについては、メディアの報道姿勢にも問題がある(医学関係の専門家からは一部批判が起きている)。
多剤耐性菌と死因との関連は、そう明快に説明できるものではない。新聞記事の行間からはそのように読める。
その証拠に、ニュースでも「○人は感染と死亡との因果関係を否定できない」という微妙な言い回しになっている。断定はしていないのである。
アシネトバクターは、健康な人間には感染しても発病しない。もともとの免疫力で抑えられるほどの毒性でしかない。
影響を受けるのは、重い病気を患っている免疫力の低下した患者である。したがって、もともとの疾患、あるいはその合併症などの結果死亡し、たまたまそのとき調べたらこの種の菌を発見した、というような状況がほとんどだという。とすれば、なおさら感染と死因との関連を明言することは難しいのではないか。
 だが、今回の事態を受けて、(そのようなあいまいな問題枠組みに沿って)同様の事例があちこちで出てくる可能性が高い。
 また、報告の遅れが指摘されているが、これまで報告の義務はなかったし(これから義務化すると厚労省は言っているが)、仮に厚労省や保健所などへの報告が迅速であったら、拡大を防げたのか。そもそも何のために届け出るのか。そこに、院内感染対策の専門スタッフがいるというのか。また、感染症の専門医たちからなる充実した体制を各病院が整えられる現状に、日本の医学界はあるのか。おそらく、どれも否だろう。
 であるならば、なおさらその視点での建設的な議論がほしい。
 
 しかし、一度このように報道されてしまうと、世論は突発的な感情に引っ張られて断罪的に物事を解釈してしまう。大きなイメージダウンにつながることは確かだろう。
ただし、どんなに糾弾したところで、病人・患者が減るわけではない。問題が発覚したから「しばらく救急は受け入れない」といえば、近辺の連携する病院にその分の負担がのししかかるだけである。それがさらなる問題の引き金にならないか、危惧する次第である。

〈リンク〉
多剤耐性菌感染症の集団発生(いわゆる、アウトブレイク)問題に関する全国医師連盟の見解 - 全国医師連盟、2010年9月10日

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